目につく範囲のことに、ほぼ飽きてきた。
日々、世界は何事か新しいものを生み、
まだ見ぬものであふれているような素振りをしているけど、
僕からすれば、それらはすべて
パターン1からパターン216の間の使い古された出来事に過ぎなくなった。
(由子が、行きたいところとか食べたいものとか
読みたい本とか見たい映画とかがまだまだいっぱいある、と言うのを聞くと
正直、すごくうらやましい。)
世が世なら、残りの人生は座禅でも組んで過ごさせてもらえるんだろうけど。
この世界に残された飽きないことは、
由子との日々だけになってしまった。
ただひとつ、これを失ってしまったときを想像すると、
心の底の底の方が、一瞬ひやりとするのだ。
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