デジタル一眼レフカメラでの動画撮影20081002

デジタル一眼レフカメラに動画撮影機能をつけよう、という試みが
Nikon、Canon、Panasonicといった主要メーカーから一斉に行われようとしていて
いますごく興味があるのでピックアップしてみます。

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そもそも、なぜデジタル一眼レフカメラに動画撮影機能をつける意味があるのか。

割とつい最近まで、レンズを交換して様々な描写表現ができるビデオカメラというのは
業務用の高価な機器に限られていました。
たとえば、SONYのHVR-Z7Jなんかは定価70万円くらい、実売50万円くらいと
個人ユースとしてはなかなかの高額ですがこれでも安い方でした。
http://www.sony.jp/products/Professional/c_c/hdv/products/hvr_z7j/index.html

ところが、現在の普及型デジタル一眼レフカメラは実売10万円前後で、
当然ながらレンズも交換できます。
このまま動画撮影機能がつけば、今まで業務用カメラでしか表現できなかった映像を
信じられない安さのカメラで撮ることができるわけです。

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既に「ライブビュー」と言って
撮影時の動画を液晶画面に表示する機能までは最近の機種には搭載されています。
この動画を単に記録するだけなら、それほど価格の上乗せもなく実現できるようです。

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で、実際のプロダクトが、
先月あたりから販売開始になっています。

●Nikon D90
http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d90/

業界初となったNikon D90。
720pハイビジョンで24fpsな、映画みたいな動画を連続5分間撮影できます。
市場価格は9万円前後。

実際に発売されたものを触ってみると、
撮像素子の特性上、動いているものがとにかく歪んで撮影されます。
揺れにも弱く、ちょっとした手ぶれで画面全体がコンニャクみたいになります。
また、圧縮率高めのMotionJPEGで記録されているため、
あまり派手な色調整をすると粗が出やすいです。
でも、映画みたいな雰囲気は今のところこれが一番出しやすそうです。
何より安い!
昔の8ミリフィルムカメラみたいな味わいが出るかもしれません。

vimeoに死ぬほどサンプルが上がっています。
http://www.vimeo.com/D90


●Canon EOS 5D Mark II
http://cweb.canon.jp/camera/eosd/5dmk2/index.html

来月11月に発売です。
1080pハイビジョンで30fpsな動画を、連続12分間撮影できます。
予想価格は25〜30万円。

まだデモ機も触っていませんが、
テスト撮影された映画風の映像サンプルが公開されています。
http://www.usa.canon.com/dlc/controller?act=GetArticleAct&articleID=2086
サンプルを見る限りではH264圧縮による非常に高品質な映像。
ビットレートが40Mbpsということで、個人的にはHDVなんかより断然良い。
D90と同様の動体歪みが若干見受けられますが、こちらは実用に堪える範囲じゃないでしょうか。
でも・・・高いな。


●Panasonic 2009年発売モデル?
最近、OLYMPUSなんかと共同で「マイクロフォーサーズ」という新規格をぶちたてて
その中で動画対応もしていく予定のようですが、
Panasonicの対応は来年からになるもようです。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2008/09/26/9313.html

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あと、実はCanon EOS 40Dに動画撮影機能が隠されていて
海外の有志による自作ファームウェアで有効にできるのではないかと
最近ちょっとした話題になりました。

どうやらハードウェアとしてはある程度準備ができていたけど
なんらかの理由によりソフトウェア上で無効にされているようだ、との話。

EOS 40Dは7万円代まで価格が落ちてきていますから、
このファームウェアが近日中に一般公開されれば
動画が撮影できるデジタル一眼レフカメラとしては最安になります。

でもでも、どうも開発者フォーラムを読んでいると
どうもそんなに期待できるほどの機能ではないような・・・
ざっくり読んだ限りでは、


  • ライブビュー用バッファには720x214ピクセルなんていびつな解像度の画像が来ている。つまり、縦方向の解像度は214ピクセルしかない。

  • 正常なアスペクト比を保つためには320x214ピクセルにリサンプルしなきゃいけないけど、開発中のバージョンではとりあえず横方向の解像度を単純に半分にしてる。

  • 撮像素子からの信号をフルキャプチャするには、コンパクトフラッシュの書き込み速度が追いつかないためなんらかの圧縮が必要。なお、限界値は8MB/秒で、コンパクトフラッシュの種類には依存しない。

  • そもそもHD解像度の動画ファイルを作るにはDIGIC IIIの性能が追いつかねえんじゃね?という声もあり。


という感じ。
戸田は720x480ピクセルの、いわゆるSDな動画が撮れれば全然問題ないんだけど
それすらも難しそう・・・
それに、40Dで撮影された動画を見ている限りはD90と同様の激しい動体歪みが確認できているので
あえて40Dに固執する理由もそんなにない・・・


まだまだ難しいかもな〜
買いたい人は来年春〜夏頃、ピンからキリまで出そろうのを待った方が良いでしょう。